【移植#11】ADX2Pairs — 2通貨のADXでクロス円の動き出しを探す¶

この記事の3行まとめ
- USDJPYとAUDUSDのADXが同時に高い場面を、AUDJPYチャート上へオレンジ色で表示します
- 3通貨のADXがそろって上昇した場面は、水色の矢印で別に表示します
- ADXが示すのはトレンドの強さであり、買い・売りの方向ではない点に注意が必要です
2009年の「2通貨を見る」アイデアをもう一度¶
今回の元ネタは、2009年12月23日に公開された「USD/JPYとAUD/USDの双方からAUD/JPYのsell buyポイントを判定する?」です。
AUDJPYは、USDJPYとAUDUSDの組み合わせとして捉えられます。
そのため、AUDJPYだけを見るのではなく、構成要素であるUSDJPYとAUDUSDのトレンド強度を同時に確認する、というのが元記事の発想です。
以前の【移植#06】三角裁定トレンド判定では、2通貨の移動平均線の傾きから方向を見ました。今回は方向ではなく、ADXで値動きの強さを測る点が違います。
ADXだけでは買いか売りか分からない¶
ここは大切なので、先に整理しておきます。
ADXは、相場にどれくらい強い方向性が出ているかを0以上の数値で表す指標です。数値が高くなっても、それだけでは上昇トレンドか下降トレンドかは分かりません。
つまり、USDJPYとAUDUSDのADXが両方30を超えても、AUDJPYの「買いサイン」とは限りません。片方が上昇、もう片方が下降している可能性もあります。
そこで、この移植版は売買サインを装わず、次の2種類の観察マーカーとして実装しました。
| 表示 | 条件 | 意味 |
|---|---|---|
| オレンジの丸 | USDJPYとAUDUSDのADXが両方30以上 | 構成2通貨の値動きがともに強い |
| 水色の矢印 | USDJPY・AUDUSD・AUDJPYのADXがそろって前バーより上昇 | 3通貨でトレンド強度が同時に増している |
初期設定では、同じ条件が続いている間にマーカーを並べ続けず、条件が成立し始めた確定足だけに表示します。形成中の足では判定しないため、足の途中でマーカーが出たり消えたりする動作を避けています。
元記事の2つの判定を再現¶
1. 2通貨のADXが30を超えたか¶
最初の判定は単純です。
両方を満たした場面を、AUDJPYのローソク足の下にオレンジ色の丸で表示します。
2. 3通貨のADXが同時に上向いたか¶
元記事の改良版では、一定値を超えたかだけでなく、ADXが増加しているかに注目していました。本移植版も次の条件を使います。
この条件を満たした開始地点を、水色の矢印で表示します。
MQL5移植で変えたところ¶
Wilder式ADXを使用¶
元記事では、MT4標準ADXと一般的なWilder式ADXの違いにも触れていました。今回のコードでは、MQL5のiADXWilder()を使っています。
ただし、ブローカーの価格データや欠損バーが違えば、表示位置も完全には一致しません。「2009年当時のチャートを完全再現する」というより、判定の考え方を現在のMT5で再実装したものと考えてください。
バー番号ではなく時刻で同期¶
複数通貨を単純に同じバー番号で比較すると、一方に欠損バーがあるだけで時刻がずれます。そのため、AUDJPYの各バー時刻からiBarShift()でUSDJPYとAUDUSDの同一時刻バーを探しています。同一時刻のバーが存在しない場合は、近い別時刻の値で代用せず、そのバーの表示をスキップします。
ブローカーの接尾辞へ対応¶
通貨ペア名がAUDJPYではなく、末尾や先頭にブローカー固有文字が付く場合があります。チャート通貨から接頭辞・接尾辞を推定し、参照する2通貨にも同じ形式を適用します。
パラメータ¶
| パラメータ | 初期値 | 説明 |
|---|---|---|
InpADXPeriod | 9 | Wilder式ADXの期間 |
InpStrongThreshold | 30 | オレンジ表示の基準 |
InpRisingMinimum | 5 | 同時上昇判定に必要な最低ADX |
InpMarkOnlyStateChange | true | 条件成立の開始地点だけ表示 |
InpComponent1 | USDJPY | 構成通貨1 |
InpComponent2 | AUDUSD | 構成通貨2 |
InpMarkerOffsetPips | 8 | ローソク足とマーカーの距離 |
使用前に確認してください
AUDJPY・USDJPY・AUDUSDのヒストリカルデータが必要です。表示されない場合は、3通貨を気配値表示へ追加し、それぞれのチャートを一度開いてデータを読み込んでください。
ダウンロード¶
11_ADX2Pairs_v1_00.mq5 をダウンロード
インジケータをAUDJPYチャートへ適用してください。初期設定では、チャートの時間足と同じ時間足のUSDJPY・AUDUSDを参照します。
どう使うか¶
このインジケータは、それ単独で売買を決めるためのものではありません。
例えば、水色の矢印が出たあとにAUDJPY自身の高値更新や移動平均線の向きを確認する、といった使い方が考えられます。反対に、ADXマーカーだけを見て即座にエントリーすると、方向を取り違える可能性があります。
2009年のアイデアをそのまま神格化せず、何を測れて、何を測れないかを切り分ける。今回の移植で一番大事なのは、そこかもしれません。
関連用語¶
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