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【検証#17】リベートはコストの0.67%だった ― XMポイ活EAを机上とAI会議と実測で殺した話

【検証#17】リベートはコストの0.67%だった ― XMポイ活EAを机上とAI会議と実測で殺した話

この記事の3行まとめ

  • 「大きいロットで取引して損益は±0で決済し、ポイント(XMP)だけを稼ぐ」という思いつきを検証したら、実口座の実測でリベートは全コストのわずか0.67%(185円 vs 27,763円)でした。
  • 机上の算数の段階で「損益分岐にはスプレッド0.29pips以下が必要」という、XMのどの口座にも存在しない条件が出てきて、3モデルのAI会議も「単独EAは却下」「両建て変形も却下」という結論でした。
  • このアイデアは実弾を1発も撃たずに棺桶まで運べました。調査→算数→AI会議→過去の実取引での後付け実測、という順番で殺せば、失敗の授業料はほぼゼロで済みます。

この記事は前作の延長線上にあります

前作【検証#16】で、実口座のマーチンEAが「待つコストの非対称(スワップ)」で溶けていた話を書きました。今回はそのEAが実際に残した32ポジションの取引履歴を、別の角度――XMのポイント制度――から後付けで再利用しています。投資助言ではありません。


はじめに ― 「良いアイデアを思いついた」と思った

みなさん、こんにちは!FXおもしろラボ管理人です。

ある日、こう思いつきました。

「XMには取引量に応じてポイント(XMP)が貯まる制度がある。だったら、できるだけ大きいロットで取引して、損益はマイナスでなければいい(±0で決済する)ようにして、利益はポイントの換金で得ればいいのでは。相場の勝ち負けというリスクの代わりに、外部の制度が持つ非対称性を借りてくる発想だ」

我ながら悪くないアイデアだと思いました。ですが今回は、コードを書く前に「調べる」「計算する」「AIに壊してもらう」を先にやってみることにしました。結果から言うと、調べれば調べるほど、このアイデアは死んでいきました。今回は、その死んでいくプロセスをそのまま記事にします。


第1幕 ― 制度を調べたら、思ったより渋かった

まず、XMのポイント制度そのものを調べ直しました(2025年12月改定後の新ロイヤルティプログラムが前提です)。

  • 獲得: ドル円1ロット(10万ドル)の取引で、Bronze会員なら0.62XMP、最高位のEliteでも1.95XMPしか貯まりません
  • 換金: 1XMP=1ドル分のボーナス(クレジット)。現金として引き出すには15XMP=1ドルというレートで、しかもGold以上の会員ランクが必要です
  • 条件: ポジションを5分以上保有しないと付与がゼロになる/最も口座コストが低いKIWAMI極口座はXMPが半減する/ボーナス比率が高い口座は減額される/獲得したXMPは1年で失効する

旧制度では1ロットあたり10〜20XMPが貯まっていたそうなので、2025年12月の改定は「大幅な改悪」と報道されているのも納得の数字です。この時点で、当初のアイデアはすでに旧制度を前提にした話だったことに気づきました。


第2幕 ― 机上の算数で、勝負にすらなっていないと分かった

制度を数字に落として、コストと比べてみました。

ドル円1ロットを往復(買って売る)したときのスプレッドコストは、およそ1.6pipsで約1,600円(約10.7ドル)です。これに対して、最良条件(Eliteランク・ボーナス換算)でのリベートは1.95ドル――スプレッドコストの18%にしかなりません。しかも現金換算(15XMP=1ドル)にすると、わずか1.2%まで沈みます。

損益分岐点を逆算すると、「スプレッドが0.29pips以下」という条件が必要になりました。調べた限り、そんな口座はXMのどこにも存在しません。この時点で、数字の上では既に詰んでいました。

さらに、思いつきの核だった「マイナスでなければ決済する」というルールにも、致命的な穴がありました。ポジションは建てた瞬間からスプレッド分だけマイナスで始まります。「±0まで待つ」というルールは、どんな決済条件を組み合わせても、期待損益を1円も改善しません。数学的に変わるのは損益の分布の形だけです――高勝率で小さく勝つ回数が増える代わりに、価格が戻らなかったときに大きく負ける。これは前作【検証#16】で書いた「勝率92%でも口座は死ぬ」構造とまったく同じで、「できるだけ大きいロットで」という条件は、その一撃をさらに拡大するだけでした。

念のため、これを3つの異なるAIモデルによる会議形式にかけてみました。返ってきた結論は率直でした。

「単独のEAとしては却下。損益分岐に必要なスプレッド条件が実在しない時点で、勝負のテーブルに乗っていない」

「では別の業者と両建てして価格変動リスクそのものを消せば、リベートだけを安全に受け取れるのでは」という変形案も出しましたが、これも一蹴されました。

「その変形はスプレッドを2重に払うだけで、しかもXMは業者間の両建てを規約で禁止している。発覚すれば利益が没収されるリスクがある」

結局、この会議で採用されたのは「発注しない計測」だけでした。実弾を撃つ前に、過去の取引履歴で答え合わせができるならそれで十分、という判断です。

graph TD
    A["発案:<br/>大きいロット+±0決済でXMPを稼ぐ"] --> B["第1幕: 制度を調査<br/>改定後Eliteでも1.95XMP/lot"]
    B --> C["第2幕: 机上の算数<br/>リベートはコストの1.2〜18%"]
    C --> D["AI会議(3モデル)<br/>単独EA/両建て変形→ともに却下"]
    D --> E["第3幕: 実口座32ポジションで後付け実測<br/>0.67%(Bronze)"]
    E --> F["結論: 不成立<br/>実弾0発で終了"]
    style E fill:#ffebee,stroke:#e53935,color:#1a1a1a
    style F fill:#ffebee,stroke:#e53935,color:#1a1a1a

第3幕 ― 実測がとどめを刺した

ここまでで筋は悪いと分かっていましたが、最後にとどめとして「実測」をやりました。自分の実口座の直近3ヶ月・32ポジション(前作【検証#16】で扱ったマーチンEAの実際の取引履歴です)に、「もしこの取引がXMPを稼いでいたら、いくらになっていたか」を後付けで計算する計測ツールを作って流しました。

まず分かったのは、5分保有ルールはほとんど問題にならなかったということです。32ポジションのうち付与対象になったのは93.8%――ほぼ全ての取引が5分保有をクリアしていました。「そこは問題ではなかった」というのは、地味ながら今回の検証で一番意外だった発見です。

問題は、そこから先の金額でした。

ランク/条件 リベート(換算後) 全コスト(推定) 実測コスト比
Bronze(実測ランク) 185円 27,763円 0.67%
Elite(最上位・仮定) 582円 27,763円 2.1%
Bronze(スプレッドのみと比較) 185円 スプレッド概算分 5.5%
Elite(スプレッドのみと比較) 582円 スプレッド概算分 17.4%

実際に加入していたBronzeランクでの実測リベートは185円。これに対して、スプレッド推定・スワップ・手数料を含めた全コストは27,763円でした。比率にすると0.67%――つまりコストの1,000分の7しか戻ってきていません。仮に最上位のEliteランクだったとしても582円で2.1%、スワップを除いてスプレッドだけと比べても、Bronzeで5.5%・Eliteで17.4%止まりです。

どの組み合わせで計算し直しても、桁が2つ足りません。机上の算数で「勝負にならない」と分かっていたことが、実際の取引履歴でもそのまま裏付けられた形です。


教訓 ― アイデアは、実弾を撃たずに殺せる

今回の一連の検証を振り返って、思うことをまとめます。

「外部の非対称性(ポイント)を借りてくる」という発想自体は、筋が悪いわけではありません。ただしそのレートを決めるのは自分ではなく胴元です。旧制度(1ロット10〜20XMP)ならまだ際どい勝負だったかもしれませんが、2025年12月の改定後は、そもそも勝負になっていませんでした。

「±0で決済すればいい」というルールも、タダではありません。待つこと自体が、リスクを買う行為です。マイナスにならないのを待っている間、口座はずっとその値動きに晒され続けています。

それでも、今回は良かったことが一つあります。このアイデアは実弾を1発も撃たずに死にました。調査→机上の算数→AI会議→過去の実取引での後付け実測、という順番で潰していけば、アイデアの検証はほとんど費用をかけずにできます。棺桶まで運ぶのに、証拠金は1円も要りませんでした。

ポイント制度は「狙って稼ぐもの」ではなく、「どうせ発生する取引についてくるおまけ」として受け取るのが正解だと思います。次はアイデアが生き残った時の話を書きたいですが、それがいつになるかは分かりません。


※XMPの係数・レートは調査時点(2026年7月)の情報であり、今後変更される可能性があります。本記事は投資助言ではありません。ポイント獲得を目的とした過度な回転売買には、規約上のリスクがありうる点にご留意ください。数値は実際の取引履歴・調査結果をもとに、わかりやすく丸めて記載しています。


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