【検証#15-1】「相場を分類すれば勝てる」という前提を疑う — レンジ/トレンド判定EAで普通に負けた話¶
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この記事の3行まとめ
- 性質の違う5成分を束ねたレンジ/トレンド判定フィルターを作り、それを使い切るEAを組んだら——199トレード・PF0.75で普通に負けました。
- 厄介なのは、フィルターは設計どおり完璧に動いていたこと。壊れていたのは「相場を分類すれば勝てる」という前提のほうでした。
- フィルターは「配分」と「リスク管理」はできても、優位性のないエントリーは救えない。判定インジは作れても、判定できることと勝てることは別問題だった、という話です。
この記事の前提
本記事はシステム開発の記録をもとに、固有名や内部の実装詳細を除いて再構成したものです。掲載した数値はサンプルが限定的で、優位性の「実証」ではなく「示唆」の段階にあります。投資助言ではありません。最終判断はご自身の責任でお願いします。
はじめに ― 「いちばん筋が良さそうな道」で負けました¶
みなさん、こんにちは!FXおもしろラボ管理人です。
このサイトでは、相場を「レンジか、トレンドか」で見分けるためのインジケータを何度も作ってきました。ハースト指数(検証#01 / 検証#04)、隠れマルコフモデル(検証#03)、そして5成分を束ねたレジーム判定インジ(検証#06シリーズ)。
判定器そのものは、作れます。色も付くし、確信度も出る。 ならば次は当然、こう思うわけです。「この判定を使ってEAを組めば、勝てるはずだ」 と。
結論から言うと、負けました。 しかも、いちばん筋が良さそうに見えた道で。
この記事(前編)では、その「負け方」を正直に分解します。後編では、そこから見つけた出発点——「分類するのをやめて、効いているかを測り続ける」という考え方——を扱います。
第1幕 ― 「最高のレンジ/トレンド判定フィルター」を作る¶
最初の発想は、とてもシンプルでした。
相場には、価格が一定範囲を往復する「レンジ」と、一方向に伸びる「トレンド」がある。ならば、この2つを正しく見分けられれば、EAはもっと賢くなるはず——。トレンドのときは順張り、レンジのときは逆張り。状態に応じて戦い方を切り替える。
この「相場の状態に応じて、順張りと逆張りをカメレオンのように切り替える」という発想自体は、けっして突飛なものではありません。検証#05(DMTSロジック)でも同じ思想で磁力線インジを設計しましたし、FXのロジックを4象限で整理したFXロジック大全でも「レジーム認識型」として一つの王道に位置づけられています。いかにも筋が良さそうでした。むしろ、やらない理由が見つかりませんでした。
ただ、単一の指標は必ず死角を持ちます。そこで性質の違う5つの成分を組み合わせ、判定がコロコロ裏返らないようヒステリシス(直前の状態を引きずらせて、ノイズで判定が反転しないようにする仕組み)も入れました。確信度も出る。テストもコンパイルも通る。
部品としては、かなりよくできていたと思います。 問題は、その次に起きました。
第2幕 ― EA化して、正直に負けた¶
そのフィルターを使い切る形でEAを組み、バックテストを回しました。結果を、正直に書きます。
| 構成 | トレード数 | PF | 勝率 | 損益 |
|---|---|---|---|---|
| 両モード | 199 | 0.75 | 47% | −6.5% |
| トレンド単独 | 38 | 0.44 | 29% | −3.9% |
| レンジ単独 | 162 | 0.82 | 52% | −3.4% |
PF(プロフィットファクター)は利益合計÷損失合計。1.0を下回ると、基本的に負けています。
厄介だったのは、フィルターが壊れていたわけではない、ということでした。判定もロジックも設計どおり。それでも負けたのです。
graph LR
A["レンジ/トレンド判定<br/>(設計どおり動作)"] -->|モード切替| B["順張り / 逆張り<br/>エントリー"]
B --> C["199トレード<br/>PF 0.75 で負け"]
style A fill:#e8f5e9,stroke:#43a047,color:#1a1a1a
style C fill:#ffebee,stroke:#e53935,color:#1a1a1a ここで、ひとつの診断にたどり着きました。
フィルターは「配分」と「リスク管理」はできる。けれど、優位性のないエントリーを救うことはできない。
教科書的な押し目買い。ありがちなバンド反発。誰もが知っている形。見た目はもっともらしい。でも、見た目がもっともらしいことと、期待値がプラスであることは、まったく別の話でした。
損切りと利確の比率をいじっても根本は変わりません。優位性のない場所でパラメータを動かすのは、同じ負けの地形を歩き回るだけ。これは以前 検証#12(ボツEAの黄金パターン) で見た失敗の型とも、地続きでした。
第3幕 ― 「分類すれば勝てる」という前提そのものを疑う¶
ここで立ち止まって考えました。
レンジか、トレンドか。この「分類」は、過去の一定期間を幾何学的に要約したラベルにすぎません。トレンド相場 vs レンジ相場(江戸の米相場に学ぶ)で書いたとおり、リアルタイムの完全な局面判定は数学的に「不可能」と証明されてすらいます。
つまり本当に知りたかったのは「今はトレンドか?」ではなかった。
この時間帯で、この通貨ペアで、この形で入り、この出口で抜けたとき、最近ちゃんと利益が出ているのか?
測るべきは相場のラベルではなく、自分のトレードの「勝てる確率」そのものだったのです。
graph TD
A["❌ 相場を分類する<br/>(今はトレンド?レンジ?)"] -.->|的中しても勝てない| X["199トレード PF0.75"]
B["✅ 自分のトレードを分類する<br/>(この入り方は今も効いている?)"] --> Y["後編へ:計測ループ"]
style A fill:#fff3e0,stroke:#fb8c00,color:#1a1a1a
style B fill:#e3f2fd,stroke:#1e88e5,color:#1a1a1a
style X fill:#ffebee,stroke:#e53935,color:#1a1a1a
style Y fill:#e8f5e9,stroke:#43a047,color:#1a1a1a 「相場の状態を当てること」と「自分のエントリーが勝てること」は、別の問題だった——。 レンジかトレンドかを当てれば勝てる、というあの夢は、ここで一度、終わりました。
まとめ(前編)¶
- 5成分を束ねたレンジ/トレンド判定フィルターは、設計どおり完璧に動いた。
- それでもEAは 199トレード・PF0.75 で負けた。
- 原因はフィルターの故障ではなく、「相場を分類すれば勝てる」という前提のほう。
- フィルターは配分とリスク管理はできても、優位性のないエントリーは救えない。
- 次に問うべきは「今はどんな相場か」ではなく、「自分の手法は、今も効いているか」。
夢が終わったところから、話はむしろ面白くなります。
「では、最強のフィルターとは何なのか」——分類をやめた先で実データに当てたら、全体平均が握りつぶしていた“符号の反転”と、有名なエッジが痩せていく様子が見えてきました。後編で扱います。
後編:固定条件をやめて「効いているか測り続ける」
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※本記事はシステム開発の記録に基づく再構成であり、投資助言ではありません。掲載数値はサンプルが限定的で「示唆」の段階です。最終判断はご自身の責任でお願いします。